ムタの魅力は、シリアスな活躍とコミカルなギャグシーンの落差にあります。特に視聴者の記憶に強く残っているのが、猫王の城の宴会で登場した「巨大ゼリーへのダイブ事件」です。
ご馳走が並ぶ大広間で、大好物のゼリーが入った巨大なグラスを見つけたムタは、理性を失ってそのまま頭から突入。ゼリーの中にすっぽりと埋まり、そのまま窒息寸前で固まってしまう姿は、作中屈指のコメディリリーフとして語り草になっています。この危機的な状況からハルやカラスのトトの手によって救出された後、恩義を感じて城の塔からの脱出時に自らの巨体をクッション代わりにしてハルを受け止めるなど、身体を張った義理堅さを見せつけます。
また、バロンとの掛け合いも秀逸です。スマートで完璧超人のバロンに対し、ムタは皮肉や愚痴をこぼしながらも、互いの実力を誰よりも認め合っています。口先では「俺の知ったこっちゃねえ」「勝手にしろ」と突き放しながらも、迷うハルに対して放つ「自分の時間を生きるってのはな、誰かの言いなりになることじゃねえんだよ」という趣旨の無骨な叱咤激励は、作品の根底に流れるテーマを代弁する名言として多くのファンの胸を打ちました。