マキタスポーツの名を一躍全国区へと押し上げた契機といえば、映画『苦役列車』だ。42歳にして新人俳優賞を総なめにしたこの快挙は、日本の映画界に鮮烈な衝撃を与えた。
続いて出演した『闇金ウシジマくん』シリーズでの情報屋・村田久徳役など、裏社会に生きる人間の哀愁や生々しさを演じさせたら右に出る者はいない。だが、こうした評価を手にする直前まで、俳優としての手応えに迷いもあったという。そんな時、妻は特別なアドバイスをするわけでもなく、「いつも通りでいいんじゃない」と背中を押した。
肩肘を張らず、ありのままの人生経験を役に投影する。貧乏や挫折の味を誰よりも知る夫婦の歩みそのものが、演技という形で結実した瞬間だった。