「マーガリンは体に悪く、バターは安全」という古い固定観念は、最新のデータによって完全に塗り替えられた。技術開発が進んだ現在、市販のマーガリンに含まれるトランス脂肪酸の含有率は100グラムあたり0.5〜1グラム程度にまで低減されており、場合によっては天然のトランス脂肪酸を微量に含むバターの数値(約1.7〜2.2グラム)を下回るケースすら珍しくない。カロリーに関しても、水分量の多い商品を選べばマーガリンの方が低カロリーという逆転現象が起きている。
では、何を基準に選ぶべきなのか。プロの調理現場における最適解は「求める風味」と「用途・コスト」の明確な使い分けだ。芳醇なコクと独特の甘い香り(ジアセチルなどに起因する)を料理に与えたい場合や、パイ生地のように層を折りたたむ製菓には、融点が高く豊かな風味を持つバターが不可欠である。反対に、トーストへの塗りやすさ、冷え固まらない扱いやすさ、あっさりとした後味、そして家計に優しいコストパフォーマンスを最優先するなら、現代の低トランス脂肪酸マーガリンが圧倒的に有利となる。