第8話ラストにおいて、美樹さやかが放った「あたしって、ほんとバカ」というセリフは、作品屈指の名言であると同時に、自らの欺瞞に対する痛烈な自己処罰の告白でした。
彼女は他人のために奇跡を使った「正義の味方」であろうと必死に自らを律してきました。しかし、仁美と恭介が結ばれていく未来を前にして湧き上がった感情は、祝福ではなくドス黒い嫉妬と怨嗟でした。「自分は清らかな聖者などではなく、見返りを求めていた醜い人間だった」と悟った瞬間、蓄積した呪いが限界を突破します。魔力を回復させるためのグリーフシードの使用を頑なに拒んだのも、自暴自棄というよりは、薄汚れてしまった自己に対する無意識の「処刑宣告」に他なりませんでした。
そして駅のホームでソウルジェムは砕け散り、人魚の魔女「オクタヴィア(Oktavia von Seckendorff)」へと変貌を遂げます。音楽を愛した恭介の幻影を追い求めるかのようにコンサートホールの結界を展開し、車輪や騎士の意匠を纏って暴走する姿は、叶わなかった初恋の痛ましい残滓そのものでした。助けを呼ぶ鹿目まどかの声も届かず、かつて守ろうとした世界を破壊する側に回ってしまう結末は、視聴者に癒えない爪痕を残しました。