彼の原点を語る上で欠かせないのが、1980年代に一世を風靡したスーパー戦隊シリーズ『電子戦隊デンジマン』における赤木一平/デンジレッド役だ。当時から際立っていた存在感とアクション性能、そして誠実な演技は、多くの子どもたちや特撮ファンに強烈な記憶を残した。
しかし、彼のキャリアは特撮ヒーローにとどまらない。劇団四季をはじめとする舞台演劇のフィールドで、長年にわたりミュージカル俳優として卓越した歌唱力と身体表現を磨き上げた。マイク前だけで完結しない「全身で役を演じきる」強靭な基礎は、このタフな舞台経験によって育まれたものだ。
声優業への本格的なシフト後も、舞台で培ったダイナミクスが衰えることはなかった。台詞の間(ま)の取り方、呼吸の置き方、声の倍音成分のコントロール——そのすべてに演劇人としての血肉が注ぎ込まれている。