誤読問題が持ち上がると、テレビのワイドショー各局は連日のように「首相の漢字力」をテーマにした特集を組みました。新橋のSL広場などでサラリーマンや若者に同じ漢字を読ませる「街頭漢字テスト」企画が乱立し、お茶の間のエンターテインメントとして消費されていきました。
この狂騒曲は出版界にも波及し、書店では大人の漢字ドリルや難読漢字本がベストセラーランキングを独占する「漢字ブーム」という副産物まで生み出しました。
一方、当時のインターネット空間(2ちゃんねるや黎明期のブログメディア)では、世論が大きく二分されていました。
「一国のリーダーとして恥ずかしい」「国際舞台で日本の知性が疑われる」という批判派に対し、ネットの一部では「政策の本質に関係ない揚げ足取りだ」「リーマンショック対応を議論すべき国会で漢字テストをやっている野党やメディアこそ異常」という麻生擁護論も根強く展開されました。しかし、テレビを中心とするマスメディアの圧倒的な物量の前では、政権に対する「頼りなさ」「軽さ」のイメージ定着を覆すには至りませんでした。