このポーズの歴史を紐解くと、日本のポップカルチャーにおける表現の境界線と常に隣り合わせにありました。1970年代から1990年代にかけての写真集黄金期において、巨匠と呼ばれる写真家たちが「肉体美の究極の曲線美」を追求する中で、M字開脚ポーズは誌面の目玉として定着していきました。
当時活躍したベテランカメラマンが自著の手記で語った「被写体の脚線美を極限まで立体的に見せるためには、平面的ではない奥行きと陰影が必要だった」という述懐の通り、本来は高度なライティングと肉体造形が融合した芸術的アプローチでした。2000年代以降、グラビアアイドル写真集における王道の見せ場として消費される一方で、過度な露出競争が巻き起こり、世論の反発を買う局面も少なくありませんでした。
しかし、近年のセルフプロデュース時代において文脈は劇的に変化しました。現代の女性パフォーマーやモデルたちは、他者から消費される対象としてではなく、「自己の身体能力や引き締まったヒップラインを堂々と誇示するポーズ」として主体的に再定義しています。客観的に見ても、単なる扇情的な描写から、自己表現のエネルギーを放つツールへと昇華しているプロセスが伺えます。