バッテリー内部に充填されているのは、単なる水ではなく希釈された酸性液体である。具体的には、化学反応の主役を担う稀硫酸と水が絶妙な比率で混ざり合った電解液が満たされている。液面が下がった際に「手元にある水道水を入れればいい」と考えるのは極めて危険な誤解だ。
水道水にはカルシウム、マグネシウム、塩素、鉄分といった不純物やミネラル成分が豊富に含まれている。これらが鉛蓄電池の内部に入り込むと、化学反応を妨害するだけでなく、内部ショートや電極板の急速な腐食を引き起こす。結果として、バッテリー全体の寿命を著しく削り取ることになる。
そのため、補充の際に絶対的な条件となるのが不純物を極限まで除去した精製水や純水の存在だ。工業規格に沿って脱塩処理された純粋な水分だけを補給することで、本来の充放電効率を損なうことなく安全に内部コンディションを維持できる。