高病原性鳥インフルエンザウイルスは、鶏にとって文字通りの「死神」だ。感染した鶏の致死率はほぼ100%に達する。しかも、その伝染力は驚異的だ。一つのケージで感染が発生すれば、数日もしないうちに数万羽、数十万羽が密集する養鶏場全体へと瞬く間に燃え広がる。
ウイルスは空気感染や、作業員の靴、車両、さらにはネズミや野鳥を介して容易に隣の農場へと運ばれる。のんびりと治療を待つ猶予など一切ない。感染拡大のスピードが、人間の対策を遥かに上回るからだ。だからこそ、ウイルスが他の農場へ飛び火する前に、物理的に「ウイルスの工場」をシャットダウンする必要がある。それが殺処分なのだ。