芦原妃名子氏が遺した作品群は、常に人の心の機微を鋭く、かつ温かく描き出してきた。出世作となった『砂時計』は、島根の豊かな自然を背景に、傷ついた少女が成長していく姿を繊細に綴り、小学館漫画賞を受賞。実写映画やテレビドラマとしても大きな成功を収め、多くのファンの人生に寄り添った。
彼女の才能は漫画業界全体においても高く評価されていた。単なる娯楽作品に留まらず、人間性の尊厳や複雑な感情を描き切る筆力は、多くの後進クリエイターに影響を与えた。それだけに、クリエイティブの尊厳が脅かされたときの彼女の傷つきやすさと真摯さは、誰よりも深かったと言わざるを得ない。