「履歴書の写真だけで落とされることはあるのか?」という疑問に対し、キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)であり有限会社キャリアドメイン代表取締役の谷所健一郎氏ら採用の専門家は、「写真単体で不採用の決定打になることは少なくても、マイナス評価のトリガーには確実になる」と指摘します。採用担当者が1通の履歴書に目を通す時間はわずか数十秒から数分程度。その限られた瞬間において、視覚情報が判断に与える影響は極めて大きいのが現実です。
心理学には、ある際立った特徴に引きずられて全体の評価が歪められる「ハロー効果(初頭効果)」と呼ばれる現象があります。写真の襟元がよれている、ネクタイが歪んでいる、あるいはTPOにそぐわない服装をしていると、無意識のうちに「仕事が雑かもしれない」「社外に出せない人物だ」というネガティブなバイアスが書類全体にかかってしまいます。つまり、どんなに素晴らしい自己PRを書いていても、服装の不備がフィルターとなって正当に読まれないリスクが生じるのです。
また、経済学における「シグナリング理論」の観点からも、服装は応募者の社会的適応力を測るシグナルとして機能します。企業側は「うちの会社の面接のために、きちんと身なりを整える敬意と労力を払えるか」というコスト意識を無意識にチェックしています。「私服OK」という言葉を真に受けてヨレヨレのTシャツで撮影した応募者が、スーツに身を包んだライバルと並んだ際、どちらが信頼を勝ち取るかは火を見るより明らかです。