向田邦子コーナーの熱気に目を奪われがちですが、本館の根幹を支える「鹿児島ゆかりの文学者」の展示フロアも見応え十分です。激動の幕末から近現代にかけて、薩摩の風土が育んだ個性豊かな作家たちの自筆原稿や初版本、愛用品がテーマ別に整理されています。
展示一覧の中でも特に注目したい文学者は以下の通りです。
・海音寺潮五郎:『西郷隆盛』『天と地と』などで知られる歴史小説の巨匠。重厚な創作メモや書斎資料。
・林芙美子:代表作『放浪記』『浮雲』の原点となった、母の故郷・鹿児島への想いと過酷な半生を辿る資料群。
・椋鳩十:『大造じいさんとガン』など動物文学の第一人者であり、鹿児島県立図書館長として読書運動に捧げた情熱の記録。
・有島武郎・有島生馬・里見弴:薩摩藩郷士の血筋を引く有島三兄弟の文学的葛藤と芸術的軌跡。
・梅崎春生:桜島を舞台にした名作『桜島』を生んだ戦後文学の旗手に関する資料。
これらの展示を通じて、南国の豊かな自然と薩摩武士の気骨がどのように近代日本文学へ昇華されたのかを立体的に体感できます。