長年にわたり「最悪の世代」のなかでも特異な年齢操作能力と大食い属性で知られていたジュエリー・ボニーですが、エッグヘッド編においてその正体が完全に白日の下に晒されました。読者に走った衝撃は計り知れません。彼女の実年齢はわずか12歳であり、かつて革命軍の幹部であったジニーが聖地マリージョアで天竜人に拉致され、強制的に妻とされた末に産み落とされた悲劇の私生児だったのです。
ジニーを蝕んだ不治の病「青玉鱗(せいぎょくりん)」を母胎から受け継いでいたボニーは、五老星の一角であるジェイガルシア・サターン聖による冷酷な人体実験の対象でもありました。「能力者の実を食べずとも、悪魔の実のエキスを乳児に投与することで能力を発現させられるか」という非人道的な実験の産物として、彼女は「トシトシの実」の力を宿していたという事実が判明しています。
父であるバーソロミュー・くまが自らの自我を完全に抹消するサイボーグ化手術を受け入れ、パシフィスタのプロトタイプとなったのは、すべて愛娘ボニーの青玉鱗をベガパンクの技術で完治させ、彼女の命を救うための究極の自己犠牲でした。エッグヘッド島において、くまの過酷な記憶の球体をすべて受け止めたボニーは、自らの血筋と父の献身の全貌を理解します。
白眉となったのは、ルフィが「太陽の神ニカ」として戦う姿を目の当たりにしたボニーが放った技「歪んだ未来(ディストーション)」です。「一番自由な未来」を思い描くことで、自らもニカの巨人の如き姿へと変貌し、実父くまを玩具のように弄んだサターン聖へ怒りの鉄槌を下した瞬間は、作中における最もカタルシスに満ちた自我の奪還劇として語り継がれています。