陶芸の世界は長らく男性中心だった。重い土を練り、高温の窯を扱う肉体労働的な側面が強調されてきたからだ。しかし近年、女性陶芸家の活躍が目覚ましい。樋口萌もその一人である。
彼女の作品には、女性ならではの視点が反映されている。手の小さい人でも持ちやすいサイズ感、キッチンの収納棚に収まりやすい高さ、重ねた時の安定性。これらは実際に毎日器を使う立場だからこそ気づく配慮だ。
同時に、彼女の作品には確かな力強さもある。轆轤で成形された器の肉厚は均一で、焼成による歪みも最小限に抑えられている。技術的な基盤がしっかりしているからこそ、繊細な表現が可能になる。力強さと繊細さは対立するものではなく、両立するものだという証明がここにある。