「ボロボロに崩れず、つるんと剥ける裏ワザ」の正体は、栗の内部水分と温度差による物理的剥離にあります。ニチレイフーズをはじめとする冷凍食品の専門研究でも示されている通り、水分は凍結すると体積が約9%膨張します。この原理を巧みに利用したのが「冷凍テクニック」です。
具体的な手順は次の通りです。まず生栗をしっかりと水洗いし、水気を拭き取った状態で保存用密閉袋に入れ、冷凍庫で一晩(12時間以上)完全に凍らせます。凍結の過程で、実と渋皮の境目にある水分が微小な氷の結晶となり、密着していた結合組織を内側から押し広げます。
取り出した凍結栗をボウルに入れ、そこへ沸騰したての熱湯を注いで5分間放置します。すると、外側の鬼皮と渋皮だけが急速に熱膨張して柔らかくなり、内側の実はまだ冷たく引き締まった状態が生まれます。この温度差と体積差によって、渋皮と実の間に決定的な隙間が生じます。
お尻の部分(座)に包丁で薄く切り込みを入れ、そこから鬼皮と一緒にめくり上げると、まるで茹で卵の殻のように渋皮が連動して「つるん」と剥がれ落ちます。この方法であれば、溝に入り込んだ渋皮も浮き上がっているため、竹串やスプーンの背で軽く撫でるだけで綺麗に取り去ることができます。
また、All Aboutの生活検証でも推奨されているのが「熱湯+スポンジタワシ」を併用する手法です。鬼皮だけを剥いた生栗を熱湯に2〜3分くぐらせ、清潔なキッチンスポンジの研磨面(硬い不織布部分)で栗の表面を優しく転がすように擦ると、包丁の刃を一切使わずに渋皮だけが垢のように剥離します。実を傷つけず、丸みを帯びた美しい形状を100%保持できるため、高級和菓子のような栗甘露煮を作りたい時には必須の技術です。