「ABC」という美しい語呂合わせの背後で、当時の思春期の好奇心を刺激したのが「Dの存在」です。本来はCで完結しているはずの分類体系に、誰からともなく「実はDもある」という噂が付け足され、学校の教室やネット掲示板を通じて都市伝説化していきました。
ネットや街頭で囁かれた「D」の代表的な諸説
- 妊娠・出産(Delivery):最も広く語られた説です。「C(性行為)の先に待つ決定的な現実」としての警告的なニュアンスを含み、避妊への無知に対する戒めとして語られました。
- 破局・捨てられる(Drop / Dump):関係が結末を迎えることを意味し、遊び目的の交際で弄ばれた結末を指すシニカルな俗説です。
- 同棲(Dosei):英語の頭文字ではなく日本語のローマ字表記をそのまま当てはめたパターンで、大学生や社会人間で使われました。
- 病気(Disease):性感染症を指す医学的な英語から取られたとされ、保健の授業や怪文書めいた噂話で頻出したバージョンです。
- デート(Date):「そもそも順番が狂っており、本当は付き合う前のデートがDだった」という言葉遊び的な後付け設定。
ネット上の生の声・知恵袋に見る世代間のギャップ
Yahoo!知恵袋やX(旧Twitter)、5ちゃんねる等のログを検証すると、この「Dの解釈」は世代によって驚くほどの温度差が存在します。
昭和40年代〜50年代生まれのユーザーからは、「中学校の修学旅行の夜、先輩から『Dは妊娠のことだから絶対気をつけろよ』と真顔で吹き込まれた」「漫画のパロディで『Dは土下座(Dogeza)』というギャグがあった」といったノスタルジックな体験談が寄せられています。一方で、Z世代の反応を見ると「なぜアルファベットで表す必要があるのか」「そもそもB(ペッティング)という言葉自体を日常で聞いたことがない」といった戸惑いが大半を占めており、記号としてのリアリティが完全に失われている実態が浮き彫りになっています。