近年、この下町の食文化に凄まじい熱量を注ぎ込んだのが映像配信プラットフォームの存在だ。Netflixで世界的大ヒットを記録したドラマ『サンクチュアリ -聖域-』は、荒々しくも神聖な大相撲の裏側を描き出し、劇中で力士たちが貪り食う鍋の湯気までもが海外の視聴者を釘付けにした。さらに、海外でも根強い人気を誇る『孤独のグルメ』の聖地巡礼需要が合流し、両国の街には国境を超えたフーディーたちが押し寄せている。
かつては相撲ファンや地元の下町っ子が中心だった客層は一変した。欧米からのバックパッカーがカウンターで力士サイズのすり鉢を器用に操り、アジアからの観光客が山盛りの肉団子に歓声を上げる。スクリーン越しに伝わった熱気は、今や両国の夜を彩る国際色豊かな日常の風景へと昇華された。