Aセク(アセクシャル / アセクシュアル)とは、一般に他者に対して性的な惹かれ(性的牽引)を経験しないセクシュアリティを指す。LGBTQ+の枠組みに「A(Asexual)」を加えた「LGBTQIA+」という表現も広く浸透しており、セクシュアルマイノリティの重要な一角として位置づけられている。
統計的な観点において、Aセクの割合は人口のおよそ1%前後と推計されることが多い。イギリスの心理学者アンソニー・ボガート氏の大規模調査をはじめ、国内外の社会調査でもおおむね1〜2%前後の層が存在することが報告されている。100人に1人という数字は決して稀な存在ではなく、学校の1クラスや職場のフロアに当事者がいてもまったく不自然ではない規模だ。
取材現場で寄せられるアセクシュアル当事者の声を聞くと、「思春期になっても初恋の感覚が分からなかった」「性的な接触を想像すると強い違和感や嫌悪感がある」といった体験談が目立つ。決して「過去のトラウマ」や「性欲の減退」によるものではなく、生まれ持った指向性・アイデンティティの一つであることが医学的・心理学的にも確立されている。