2012年のドラマシーンを語る上で欠かせないのが、骨太な映像美とタブーを恐れないテーマ性で視聴者を引き込んだサスペンス群です。
竹内結子さんが警視庁捜査一課の若き女性主任・姫川玲子を演じた『ストロベリーナイト』は、誉田哲也氏のベストセラー警察小説を完全実写化。過去に受けた凄惨な性犯罪のトラウマを抱えながら、直感と狂気を帯びた鋭敏さで殺人事件の深淵に迫る主人公像は、日本ドラマ史における女性刑事像の最高峰の一つと評されています。西島秀俊さん演じる菊田和男との抑えられた大人の信頼関係、林ゆうき氏による緊張感溢れる劇伴、映画クオリティの重厚なシネマトグラフィは、深夜枠ではなくプライム帯で放映された事実を含めて極めて先駆的でした。
また、TBS日曜劇場で異彩を放ったのが中居正広さん主演の『ATARU』です。特定分野に突出した才能を持つサヴァン症候群の青年・チョコザイが、現場に残された微細な手がかり(アップデートログ)を発見し、迷宮入り事件を解決へ導くサイエンスミステリー。中居さんの繊細な身体表現とキャラクター構築は高い評価を受け、最高視聴率19.9%を記録する社会現象となりました。