梨元氏を語る上で欠かせないのが、甲高い声とともに放たれる「恐縮です!」というフレーズです。この言葉が生まれた背景には、梨元氏の記者としての緻密な計算と、取材相手に対する誠実な敬意が存在していました。
法政大学社会学部を卒業後、講談社の女性週刊誌『ヤングレディ』の取材記者としてキャリアをスタートさせた梨元氏。1980年にテレビ朝日系の名物情報番組『アフタヌーンショー』のリポーターに抜擢され、テレビの世界へ進出しました。当時、芸能人のプライベートに土足で踏み込む取材スタイルは批判の対象にもなりやすかったため、梨元氏は「相手が不快に感じる領域に踏み込む以上、最大限の礼儀を払わなければならない」と考え抜きました。
そこで生まれたのが、「大変不躾で申し訳ありませんが」というへりくだりの意を込めた「恐縮です」という前置きでした。低姿勢で頭を下げながらマイクを差し出すことで、相手の警戒心を和らげつつ、逃げ道を塞いで核心の質問をぶつける独自のスタイルを確立。相手を威圧するのではなく、腰を低くしながらも一歩も引かない絶妙なアプローチは、梨元氏ならではのトレードマークとして日本全国に浸透していきました。