2026年、貴金属市場は従来の常識が通用しない新たな価格形成メカニズムに突入した。米連邦準備制度(FRB)の金利政策が新たな局面を迎えるなか、新興国中央銀行による金準備の継続的な積み増しと、個人投資家による実物資産への資金シフトが同時に進行。グラムあたりの国内店頭販売価格は過去の記録を次々と塗り替えている。
一般の個人投資家が資産防衛としてインゴットやコインを買い求める動きは止まらない。だが、市場関係者が注視しているのは、宝飾品や投資用地金としての需要よりも、むしろ「回収不能になりつつある産業用貴金属の奪い合い」だ。エレクトロニクス機器の高性能化に伴い、一製品あたりに使用される貴金属の純度要件は跳ね上がっており、一次資源の採掘コスト増加と相まって、精錬加工能力を持つ主要プレーヤーの価値が急上昇している。