作者であるトビー・フォックス(Toby Fox)氏は、なぜ「Level of Violence」という設定をゲームに組み込んだのでしょうか。その背景には、歴代のクラシックRPGが長年見過ごしてきた「お約束への批評性」が存在します。
従来のRPGでは、プレイヤーはレベル上げのために無邪気にモンスターを倒し続けます。そこには「生き物の命を奪っている」という道徳的な痛覚はなく、単なる効率的な数値稼ぎ(ファーム作業)として処理されてきました。トビー氏はその無意識の暴力性を可視化するため、あえて誰もが愛着を持つ「LOVE」という単語を「Level of Violence」のアクロニム(頭字語)として設計したと考えられます。
温かみや救済を連想させる「LOVE」という言葉を隠れ蓑にし、中身を「暴力の度合い」にすり替えるギミック。プレイヤーが善意や無知のままシステムに従った結果、知らず知らずのうちに加害者へと仕立て上げられる構図は、プレイヤー自身の倫理観を直接試す見事なメタ構造となっています。