家庭料理の美学を説く料理研究家の土井善晴氏は、常々「素材の理(ことわり)に逆らわない調理」の大切さを語る。長寿番組であるNHK『きょうの料理』のアーカイブを紐解いても、天ぷらやフライの温め直しにおいては、常に「いかに余分な水分と油を同時にコントロールするか」が語り継がれてきた。
昔ながらの知恵では、少量の油を引いたフライパンで転がしながら水分を飛ばす手法が定番だった。しかし現代の調理機器を使えば、油を追加することなく、ポテト自身が抱えている油分を再利用して「自己揚げ」させることが可能だ。素材が持つ力を信じ、熱の伝わり方を論理的に整理する姿勢は、昭和から令和に至るまで日本の家庭料理が培ってきた普遍的な知性と言える。