上海軒の暖簾をくぐる来訪者の大半が注文するのが、ツートップとして君臨する「ラーメン」と「チャーハン」です。メニュー表には多彩な町中華料理が並びますが、この2大看板の完成度は群を抜いています。
まず、看板である上海軒のラーメンは、器の底まで透き通るような美しい琥珀色のスープが特徴です。一口すすると、芳醇な醤油の香りと動物系出汁のまろやかなコクがじんわりと五臓六腑に染み渡ります。合わせる麺は、スープをしっかりと持ち上げる中細の縮れ麺。適度な弾力と喉越しの良さが心地よく、箸が止まらなくなります。トッピングの自家製煮豚チャーシューは、脂身と赤身のバランスが絶妙で、噛むほどに凝縮された肉の旨味が溢れ出します。
そして、ラーメンと双璧をなす名物が上海軒のチャーハンです。高温の中華鍋で一気に焼き上げられるチャーハンは、ラードの香ばしい風味が全体を包み込み、米粒一つひとつが油を纏いながらも決して重くない、いわゆる「パラしっとり」の極致を実現しています。刻みチャーシュー、ネギ、卵という極めてシンプルな具材構成でありながら、口の中で解ける食感と塩加減の妙は、他店では容易に真似できない職人技の結晶です。