1988年(昭和63年)4月10日に開通した瀬戸大橋は、本州(岡山県倉敷市児島)と四国(香川県坂出市)を結ぶ海峡部9.4km、高架部を含めた全長12.3kmに及ぶ巨大プロジェクトの結晶です。3連の吊橋(下津井瀬戸大橋・北備讃瀬戸大橋・南備讃瀬戸大橋)、2つの斜張橋(櫃石島橋・岩黒島橋)、1つのトラス橋(与島橋)という異なる6つの橋梁形式が連続する構造は、世界土木史に残る金字塔と称されています。
建設当時のドキュメンタリーや関係者の証言録には、水深数十メートルの激流渦巻く海底に巨大なケーソン(鋼製基礎沈函)を据え付ける「設置台船工法」など、当時としては世界最先端の極限土木技術が投入された苦闘が記されています。潮流速度が最大8ノット(時速約15km)に達する過酷な海域で、ミリ単位の精度を保ちながら主塔を垂直に組み上げた日本の技術力は、後の明石海峡大橋建設へ直結する貴重なデータをもたらしました。
この巨大インフラを支えているのは、今なお24時間365日体制で続けられている徹底的な予防保全です。海風による塩害から鋼材を守る除湿エア循環システムや、定期的な再塗装、超音波探傷によるボルトの緩み検知など、半世紀を超えて安全に使い続けるための保全DXが現場で静かに機能しています。