大森周辺は、日本の映像文化史においても重要なスポットとして知られている。世界的な映画監督である黒澤明は青春時代の一時期をこの地で過ごし、作品の着想を練ったとされる。かつて文化人や芸術家が居を構えた山王文化村の空気感は、巨匠の感性を育む土壌となった。
近代映画史だけでなく、現代のポップカルチャーにおいてもこの街は特別な意味を持つ。2016年に大ヒットを記録した映画『シン・ゴジラ』では、巨大生物の上陸ルートとして大森の街並みがリアルに描かれ、ファンの間で聖地として定着した。迫真の映像表現が生み出した臨場感は今なお語り継がれている。
最近では、Netflixなどの動画配信サービスで『シン・ゴジラ』や黒澤作品を鑑賞してから聖地巡礼に訪れる若者や外国人工観光客の姿も目立つ。スクリーンの向こう側の世界と実際の風景が重なり合う体験は、映画ファンにとって堪らない魅惑の旅となる。