愛猫の夜間の大暴れを指す言葉として、なぜこれほど仰々しい名称が定着したのでしょうか。ネットミームの変遷を辿ると、キャットエンペラータイムの元ネタは、冨樫義博氏による伝説的バトル漫画『HUNTER×HUNTER(ハンターハンター)』に登場する主要キャラクター、クラピカの特殊能力「絶対時間(エンペラータイム)」に行き着きます。
劇中における絶対時間は、感情の高ぶりによって瞳が深紅に染まる「緋の眼」が発動した際、本来は得手不得手があるはずの六大念系統(強化系・放出系・変化系・操作系・具現化系・特質系)の能力をすべて100%の威力と精度で引き出す極限状態を指します。この設定が、日中は丸くなって微動だにせず眠っていた猫が、ある瞬間を境に瞳孔を限界まで拡大させ、驚異的な瞬発力とアクロバティックな跳躍力を全開にして部屋中を疾走する姿と完全に一致したことから、愛猫家コミュニティで自然発生的に名付けられました。
キャットエンペラータイムの意味は、単に「猫が走っている状態」を指すのではなく、「普段の穏美なペットとしてのリミッターが完全に外れ、野生の戦闘・跳躍スペックがフル解放された無敵時間」という畏怖とユーモアを込めたニュアンスを含んでいます。古くは2ちゃんねる(現5ちゃんねる)のペット系スレッドで散見されていた表現が、2010年代半ばからX(旧Twitter)やInstagramの普及とともに動画付きで拡散され、近年では獣医療従事者の間でも飼い主との問診時に通じる共通語として定着するに至っています。