第1次政権の退陣後、安倍元首相の政治生命を劇的に復活させたのが、新規治療薬の登場でした。2009年に日本国内で承認・発売された持続性メサラジン製剤「アサコール(一般名:メサラジン)」です。
アサコールは大腸に届いてから徐々に有効成分を放出し、炎症部位に直接作用する画期的な抗炎症薬です。従来の薬では抑えきれなかった炎症を強力に鎮静化させ、安倍元首相は病状が落ち着く「寛解(かんかい)」状態を長期間維持することに成功しました。この医学的ブレイクスルーが、2012年の第2次政権発足と、その後の約7年8カ月に及ぶ歴代最長政権を支える医学的基盤となったのです。
しかし、潰瘍性大腸炎は一度寛解に達しても、現代医学において「完治(根治)」させる治療法は確立されていません。2026年に入り、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陣頭指揮による極度の疲労とストレスが蓄積した結果、同年6月の定期検診で炎症の再燃兆候が確認されました。点滴治療薬(分子標的薬など)を追加投与したものの病勢をコントロールしきれず、国政の停滞を防ぐため、2026年8月28日に2度目となる辞任を表明しました。