クマによる創傷で最も恐れるべき二次的リスクの一つが動物咬創感染症である。クマの口腔内や爪には多様な常在菌が存在し、挫滅した組織や血腫の内部で急速に増殖する。適切な初期対応を怠ると、難治性の蜂窩織炎や組織壊死、最悪の場合は全身性のセプシス(敗血症)へと進行する危険がある。
感染予防の最前線では、大量の生理食塩水を用いた徹底的な高圧洗浄が基本だ。デブリードマン(汚染壊死組織の切除)を躊躇なく行い、死腔を作らない創傷管理が徹底される。早期からの広域スペクトル抗菌薬の投与に加え、破傷風の予防接種や狂犬病に対するリスク評価を含めた総合的な感染症プロトコルが必須とされる。