なぜ、目撃情報が住民に届くまでにタイムラグが生じるのか。現地を取訪・調査すると、行政が抱える複雑な事情と「非公表」の裏側が見えてくる。ある自治体の関係者は匿名を条件に、「すべての目撃情報を即座に全件公開すれば、過度のパニックを引き起こし、風評被害や観光への大打撃につながるという判断が働くことがある」と明かした。さらに、無用な駆除に対する過剰な抗議電話が役所に殺到し、業務が麻痺することを恐れるあまり、情報公開のハードルを上げてしまうケースもあるという。
しかし、環境省が取りまとめる最新の捕獲対策データを追跡すると、捕獲件数そのものは過去最高水準に達している。数値の上では対策が進んでいるように見えながら、実際の現場では「発表されない目撃」が多数潜んでいるというギャップが存在するのだ。情報の遅れが命取りになりかねない状況下で、行政の情報開示に対する姿勢が厳しく問われている。