日本における口唇口蓋裂の発生頻度は、厚生労働省や日本形成外科学会の統計によると、およそ500人に1人(出生児の約0.2%)とされています。これはアジア人種において欧米白人(約1,000人に1人)や黒人(約2,000人に1人)と比較してやや高い傾向にありますが、決して稀な疾患ではなく、誰もが当事者になり得る一般的な先天異常です。
発生の原因について、過去には親の生活習慣や胎教に起因するのではないかという根拠のない俗説が囁かれた時期もありました。しかし現代医学においては、遺伝的素因と妊娠初期の環境要因が複雑に絡み合って生じる「多因子遺伝」であることが解明されています。特定の単一遺伝子のみで発症するケースはごく一部であり、親の責任や特定の行動が直接的な引き金になるわけではありません。
日本の医療現場では、形成外科医、小児科医、矯正歯科医、耳鼻咽喉科医、言語聴覚士、看護師が密接に連携する「チーム医療」体制が整っています。公費負担医療制度(自立支援医療・育成医療)の活用により、治療費の自己負担が大幅に軽減される環境も整備されており、機能的にも整容的にも日常生活に支障のない状態まで回復させることが十分に可能です。