「コロナちゃん」が世界中で激しい炎上を引き起こした理由は、単に病気を茶化したからだけではありません。最大の火種となったのは、「特定の国や人種に対するステレオタイプとヘイトスピーチの道具」として利用された点にあります。
チャイナドレスを着せられた少女が世界中にウイルスをばらまくという描写は、欧米圏で急増したアジア系住民へのヘイトクライム(憎悪犯罪)を扇動しかねない危険な表現として、大手プラットフォームのモデレーションチームから厳しい監視を受けました。Redditの一部コミュニティでは投稿が即時削除の対象となり、主要なイラスト投稿サイトでもタグの非表示措置が取られる事態に発展しました。
一方で、当時のネットユーザーの間には「恐怖に対処するための心理的防衛規制(コーピング・メカニズム)」としてこのミームを受け止める層も一定数存在しました。先行きの見えないロックダウン生活や連日の死亡者報道による過度なストレスから逃れるため、圧倒的な脅威をあえて小さな二次元キャラクターへとデフォルメし、笑い飛ばすことで精神的な均衡を保とうとしたのです。しかし、被害が現実のものとして拡大するにつれ、そうした擁護論は倫理的な批判の声に押し流されていきました。