「コーラを飲むと骨が溶ける」という都市伝説が日本全国へ定着した背景には、1950年代から1970年代にかけて行われたいくつかの動物実験やメディア報道が関係しています。当時、「リン酸を多く含む清涼飲料水を大量に摂取すると、体内のカルシウムが奪われて骨密度が下がる」という説がセンセーショナルに取り上げられました。
しかし、現代の生化学および栄養学において、通常の食事や適量の清涼飲料水摂取によって生きた人間の骨が溶け出すことはないと証明されています。体内には血液中のカルシウム濃度を厳密に一定へ保つ恒常性(ホメオスタシス)が備わっており、炭酸飲料を飲んだからといって骨組織が直接酸に晒されるわけではありません。
骨に関する噂が否定される一方で、口の中で直接液体と触れ合う「歯」に関しては、まったく別の生化学的アプローチで議論されるようになりました。その決定打となったのが、学校教育や科学実験動画などで広く知られるようになった「歯をコーラに漬ける実験」です。