こんにゃく特有のツンとする臭みの正体は、主原料であるグルコマンナンを固める際に不可欠なアルカリ凝固剤、すなわち水酸化カルシウムに由来する。植物繊維であるグルコマンナンは、アルカリ性の環境下で熱を受けることで強固な三次元網目構造を形成し、あの独特の弾力を生み出す。この凝固反応の副産物として残る微量のアミン類が、いわゆる「こんにゃく臭」の根源だ。
この不快な臭気成分は水溶性であり、熱水中で激しく揮発する性質を持つ。熱湯で数分間しっかりと下茹ですることで、表面および浅い層に残留したアルカリ成分が湯の中に溶け出し、完全に気化していく。水でさっと洗うだけでは落としきれない深部の臭みを断ち切るには、沸騰した湯の熱エネルギーが絶対に必要なのだ。