旅先での店選びにおいて、Instagramの写真映えや食べログの評価点を気にする人は少なくない。しかし、黒石の珈琲シーンの奥深さは、そうしたデジタルのスコアだけでは到底測りきれない。
近年、国内外の名店で研鑽を積んだ若手焙煎士たちが黒石に拠点を構え、極めてクオリティの高いスペシャルティコーヒーを提供し始めている。エチオピアやルワンダなどの浅煎り豆が持つ花のようなアロマと瑞々しい果実味を、八甲田の超軟水が見事に引き立てる。生豆のハンドピックから焙煎プロファイルの緻密な調整、抽出時の湯温管理に至るまで、その工程は職人技そのものだ。画面越しの情報ではなく、カップから立ち上る湯気と舌の上で広がる複雑なフレーバーを直接体感することこそが、この街を訪れる醍醐味と言える。