店舗数が国内外で拡大し、東証一部(現・プライム市場)への上場も視野に入っていた2002年、宗次徳二氏は53歳という若さで社長を電撃引退し、代表権を完全に返上しました。創業経営者が高齢になっても権力を握り続けるケースが珍しくない日本の外食業界において、この退任劇は大きな衝撃を与えました。
宗次氏が早期引退を決断した最大の理由は、「創業者がいつまでも居座れば、後継者が育たず会社の成長が止まる」という確固たる信念にありました。自らが築いたビジネスモデルが完成の域に達したと判断した瞬間、一切の執着を捨てて次世代にバトンを渡す道を選んだのです。
さらに特筆すべきは、引退後の潔さです。宗次氏は引退の日を境に「会社には二度と立ち入らない」「経営の相談があっても一切口出ししない」というルールを自らに課し、現在に至るまでそれを厳格に貫いています。権力欲を完全に断ち切り、後継経営陣を全面的に信頼する姿勢は、多くの経営学者や財界人から「引き際の美学」として絶賛されています。