怪演の最高峰・中村嘉葎雄の軌跡!『楢山節考』から最新配信作までの最新情報をご紹介します。最新トレンドが満載です。

三代目中村時蔵の五男として生まれた彼は、幼少期から歌舞伎の舞台で鍛え上げられた確かな素養を持っていた。しかし、1950年代半ば、自らの表現の場として選んだのは映画という新しい世界だった。松竹で映画デビューを果たしたのち、東映へ移籍。そこで繰り広げられたのは、兄であり昭和の大スターである万屋錦之介(中村錦之助)との切磋琢磨だ。

華やかで圧倒的なスター性を放つ兄に対し、彼はより深く、内面的で屈折した人間性を掘り下げる演技を追求した。立ち回りが見どころの時代劇においても、単に殺陣の美しさを誇るのではなく、刀を抜く男の孤独や情念を泥臭く表現。邦画が黄金期を迎えていた時代に、早くも「スター」ではなく「表現者」としての独自のポジションを確立していたのである。