加納典明という名前は、常にスキャンダラスな熱狂とともに語られてきた。1960年代後半から70年代にかけて、彼が繰り出したヴィジュアル表現は、それまでの日本の写真界に漂っていたお行儀の良い芸術観を根底から打ち砕いた。カメラを武器に被写体の本能を剥ぎ取り、グラビアや広告の現場で暴れ回る姿は、まさに表現の極限に挑むアウトローそのものだった。
しかし、彼の写真作品が単なる過激なパフォーマンスにとどまらない理由は、その背後にある徹底した美学だ。ライティングの美しさ、影の配置、被写体との緊迫した距離感。伝説と称される数々の作品群には、時代の欲望をあぶり出すような鋭利な観察眼が宿っている。型にはまることを嫌い、権威を笑い飛ばしながらも、写真というメディアの持つ力強さを誰よりも信じていた男の足跡は、日本のカルチャー史に深く刻まれている。