初代デザイナーである清水侑子は、1974年にハローキティの基本造形を生み出した。横向きに座り、左耳に鮮やかな赤いリボンをつけた構図は、シンプルでありながら強い視覚的インパクトを放つ。彼女が提案した「口を描かない」という英断こそが、見る者の喜怒哀楽を投影できる感情の鏡としての役割を果たしたのだ。
しかし、1970年代終わりの人気低迷期を救い、爆発的な再ブレイクへと導いたのは3代目デザイナーの山口裕子である。全国のサンリオショップを巡り、ファンの生の声を愚直なまでに聞き集める「サイン会スタイル」を確立。黒のくっきりした輪郭線を外したり、流行のファッションやストリートカルチャーを取り入れたりと、時代の空気を即座にデザインへ落とし込む大胆な改革を断行した。ファンとの共創という泥臭い舞台裏こそが、ロングヒットの最大の秘密である。