主演を務めた二宮和也の迫真の演技は、現場の緊張感を極限まで高めていた。包丁捌きや調理時の細やかな手元の動きを完璧に自分のものにするため、撮影に入る数ヶ月前から壮絶な特訓を重ねたという。代役を一切立てずに挑んだ調理シーンのリアルさが、作品全体の説得力を支えている。
メガホンを取った滝田洋二郎監督の緻密な演出術も光る。アカデミー賞受賞歴を持つ巨匠ならではの洞察力で、キャスト陣の繊細な表情の変化を一瞬も見逃さずに捉え切った。現場では二宮と滝田監督がディスカッションを重ね、台本にはない臨場感溢れる仕草がいくつも即興で生み出されたという。