楊端和の命が最も脅かされた瞬間といえば、趙国の犬戎族との死闘を挙げないわけにはいかない。追撃する犬戎軍の包囲網を破るため、彼女が見せた凄惨な撤退戦は、まさに死線そのものだった。
この絶体絶命の危機を救ったのが、最強の側近・バジオウだ。限界を超えた肉体で楊端和を背負い、崖を飛び越えて凄絶な死闘を繰り広げた場面は、作中屈指の名シーンとして語り継がれている。野獣のごとき忠誠心と二人の深い絆がなければ、ここで命を落としていたことは疑いようがない。死の淵を乗り越えたこの激闘こそが、読者に「いつでも命を落としかねない」という強い残像を植え付けた。