世界中に存在するあらゆるイエネコの原種は、中東や北アフリカの砂漠地帯に生息していたリビアヤマネコ(Felis lybica)です。砂漠や低木林で身を隠すために身にまとっていた保護色こそが、黒と褐色の縞模様――すなわち「キジトラ柄(マッカレルタビー)」でした。
遺伝子学的な見地からも、キジトラは原種の遺伝的特徴を最も色濃く残している猫種です。茶トラや白猫、黒猫といった多様な毛色は、人間との共生や突然変異の過程で生じたバリエーションに過ぎず、すべての猫の「設計図のベース」にはキジトラのDNAが刻まれています。
そのため、キジトラ猫が初対面の人間や不慣れな物音に対して見せる強い警戒心は、過酷な自然界を生き抜いてきた原種直伝の防衛本能そのものです。決して性格が冷たいわけではなく、周囲の安全を慎重に見極める高いリスク管理能力が備わっている証拠といえます。