データの流出を確認した「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」の利用者たちは、即座に「祭り」と呼ばれる集団狂乱状態に突入しました。2ちゃんねる個人情報流出の速度は凄まじく、流出した学生証や日記の記述を元に、男女の氏名、所属学部、実家の住所、電話番号、親の勤務先までが数時間のうちに丸裸にされました。
展開されたネット私刑と特定騒動は、画面の中にとどまりませんでした。当時の掲示板ログや当事者の周辺証言によると、以下のような過酷な嫌がらせが組織的・執拗に行われました。
- 男子学生の実家および女子学生の実家に対する、深夜から早朝にわたる無言電話や抗議の非通知着信。
- 注文していない大量のデリバリーピザや通信販売商品の代引き配送。
- 通っていた大学の学問的信用を傷つけたとして、大学の教務課・広報室への苦情電話の殺到。
- 実家の周辺を撮影した写真が掲示板にアップロードされるストーキング行為。
被害者の法的措置については、当時は2001年に施行されたばかりのプロバイダ責任制限法が十分に機能しておらず、海外サーバーを経由したミラーサイトの削除や、P2Pネットワーク上のノード削除は法的に極めて困難でした。警察への相談もなされましたが、P2Pウイルスによる流出被害に対する法整備や捜査能力は現在と比べて未成熟であり、被害者救済の手立ては事実上閉ざされていたのが現実です。