この疾患の本質を理解する鍵は、15番染色体に位置する「UBE3A」と呼ばれる単一の遺伝子にある。通常、人間の脳細胞内では父親由来と母親由来の双方の遺伝子が機能するが、UBE3A遺伝子に限っては、脳の特定の神経細胞において父親由来の遺伝子が「ゲノムインプリンティング」という現象により休眠(サイレンシング)状態に置かれている。つまり、脳内のタンパク質分解システムを司るUBE3Aタンパク質は、実質的に母親由来の遺伝子一本のみから供給されているのだ。
母親由来の15番染色体に欠損や変異が生じると、脳内で必要なUBE3Aタンパク質がまったく産生されなくなる。これが発症の根本的なメカニズムだ。国内では指定難病・遺伝子疾患として位置付けられており、日本小児神経学会などの専門組織や厚生労働省による実態調査が進められている。症例ごとに欠損型、突変型、父性同質二体(UPD)など原因の差異が存在し、それぞれのタイプに応じた詳細な解析が行われている。