「レモン牛乳」という名前を聞けば、誰もがフレッシュな生絞りレモンが入った牛乳をイメージするはずだ。しかし、実物を手に取って成分表示を確認すると、驚くべき事実に突き当たる。本物のレモン果汁は1滴も入っていない。
なぜ果汁を入れないのか。理由はきわめてシンプルで、科学的な現象にある。牛乳に生のレモン果汁を加えると、酸によって乳タンパク質(カゼイン)が凝固し、固まってしまうからだ。製品としての品質を保ちながらレモンの風味と美しい黄色を表現するため、無果汁で着色料と香料を絶妙に調合する手法が採用された。
無果汁でありながら、飲む人に「甘酸っぱいレモン」をしっかり想起させる。法律上の分類としては「生乳」ではなく「乳飲料」に該当するが、この絶妙なバランスこそが、半世紀以上途絶えることなく愛されてきた最大の理由だ。