刑法体系の条文構造を理解するには、まず公的データベースであるe-Gov法令検索で刑法第240条の文面を確認するのが確実だ。条文には「強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する」と極めて簡潔に記されている。有期懲役の最高刑が20年(加重で30年)であることを踏まえれば、負傷させただけで「無期懲役」の選択肢が明記されている事実そのものが、この罪の異様な重さを物語る。
強盗致死罪と強盗殺人罪の区別はどこにあるのか。実務上、刑法第240条は殺意の有無にかかわらず「致死」と「殺人」の双方を同条文で包括して処理する。かつての刑事法学の権威である団藤重光が論じたように、死傷の結果に対する故意の有無をめぐる解釈論は半世紀以上にわたり議論されてきたが、現行の実務判断において両者の法定刑に差はない。被害者が亡くなれば、殺意があろうとなかろうと、裁判官の前に置かれる選択肢は「死刑」か「無期懲役」の二択に狭まる。
強盗致傷罪であっても、被害者の傷害程度が全治数週間の骨折や打撲であれば、懲役7年から10年前後の重い実刑判決が標準的な相場だ。初犯だから、あるいは反省しているからといって執行猶予が付く余地は、法律上の減軽事由が複数重ならない限り構造的に存在しない。