軍艦島ツアーを検討する旅行者が最も気をもむのが「果たして本当に島へ上陸できるのか」という点です。ネット上では「上陸率90%超」といった数字が独り歩きすることもありますが、その背景には法的な安全基準と船体工学のメカニズムが存在します。
まず前提として、軍艦島への上陸可否はツアー会社が独自に勝手な判断で決めているわけではありません。長崎市が条例で定める厳格な「端島ドルフィン桟橋」の使用基準に準拠しています。
- 風速:秒速5メートルを超える場合
- 波高:0.5メートルを超える場合
- 視程:500メートル以下の場合
- その他:見学者が安全に昇降できないと船長が判断した場合
外洋に位置する軍艦島周辺は、波高0.5メートルという基準をわずかに超えるだけで上陸が制限されます。この厳しい自然条件下で、軍艦島コンシェルジュが高い運航・接岸実績を誇る決定的な理由が、就航船「ジュピター(Jupiter)」の船体構造です。
ジュピターはアルミ合金製の大型双胴船(カタマラン)であり、単胴船(一般的な船)に比べて横揺れに対する復原力が極めて高い特徴を備えています。船底に受ける波の衝撃を分散させ、桟橋接岸時の揺れを抑制する設計が施されているため、接岸限界ギリギリの海況下でも安全基準の範囲内で安定した着岸動作を可能にしています。船酔いしにくい快適な船内環境と、接岸成功率の底上げを両立させている点が、同社の大きな強みです。