小林誠司の名が日本中、そして世界に知れ渡った瞬間といえば、2017年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だろう。正捕手不在の危機に立たされた侍ジャパンにおいて、急遽スタメンマスクを託された小林は、巧みなリードで強打者たちを手玉に取り、打撃でもチームトップの打率.444を記録。「ラッキーボーイ」と呼ばれながらも、その土台にあったのは卓越した守備の基礎技術だった。
大舞台での強さは日本シリーズをはじめとするポストシーズンでも遺憾なく発揮されてきた。短期決戦では、ひとつのパスボールやサインミスが命取りになる。百戦錬磨の小林がホームベースの後方に構えているだけで、ベンチやマウンドの空気は引き締まる。
修羅場をくぐり抜けてきた経験値は、若手選手が数年で身につけられるものではない。プレッシャーのかかる大一番でこそ真価を発揮する勝負強さは、巨人が彼を手放さない最大の理由のひとつだ。