なぜ阿部慎之助の若い頃はここまで野球ファンを熱狂させるのか。その核心は、捕手という最も過酷なポジションを担いながら、プロ野球界トップクラスのスラッガーへと突き抜けていった異次元の成長スピードにある。
中央大学時代から「打てる捕手」の完成形と騒がれ、逆指名で巨人入りしたエリート。しかし、プロの壁は想像以上に高かった。毎日のように突きつけられる配球のミス、投手陣との軋轢、そして蓄積する疲労。守備のプレッシャーで打撃を崩す捕手が多い中、彼は違った。むしろ打席に立つことで守備の重圧を粉砕していったのだ。
2004年には捕手としての日本記録に並ぶ「4月だけで月間16本塁打」を叩き出す大覚醒。左打席から美しい放物線を描き、スタンドへ消えていく打球。それは、歴代の球界のレジェンドたちが残してきた記録を軽々と塗り替える、まさに「ヤバすぎる」進化の瞬間だった。