長引く原材料費や物流コストの高騰は、外食産業全体に大きな再編を迫っている。一般社団法人日本フードサービス協会が発表する市場動向データを眺めても、居酒屋業態は客単価の上昇と客数維持のバランスに苦心してきた軌跡が鮮明だ。その防波堤として再評価されているのが、気軽さと活気を売りにするネオ大衆酒場の存在である。
昭和レトロな雰囲気を残しつつも、清潔感と質の高い料理を揃えた大衆酒場は、若い世代からベテラン世代までを幅広く惹きつけてやまない。客層の拡大に伴い、提供されるドリンクメニューの質も底上げされた。従来の一律的なアルコール提供から脱却し、果実感あふれるサワーや厳選された割り材など、差別化を図る店が急増している。飲み放題という仕組み自体が、安売り競争の道具から、店舗のこだわりを凝縮してプレゼンテーションする舞台へと様変わりした。